骨粗鬆症の治療に使われる薬とその効用

骨粗鬆症の予防の段階では食事や運動が大切になってきます。しかし、骨粗鬆症と診断されると、それだけでは足りません。そこで、薬を使った薬物療法が行われます。

勿論、食事と運動、この両方をしっかりやっていてはじめて、薬の効果が出てくるのですが、ここではひとまず食事と運動は置いておいて、骨粗鬆症に使われる薬の紹介とその効果などを掲載してゆきます。

1)カルシウム製剤

カルシウム不足を補うために使われます。ただし、過剰摂取してしまうと胃腸障害などの副作用などが出てきますので、服用量はしっかりと守ってください。

勿論、食事からしっかりとカルシウムを摂取するのが望ましいのですが、それができない場合などはカルシウム製剤を使うことになります。

ただし、このカルシウム製剤のみで骨粗鬆症を治すことはできませんので、多くの場合は他の薬と併用することになると思います。

2)ビタミンD3製剤

カルシウムの吸収を助けてくれる薬です。この薬は腸でのカルシウム及びリンの吸収を促進したり、骨をとかしてしまうホルモンの働きを抑制する効果もあります。

骨密度増加という意味ではそれほど強力な薬ではありませんが、骨折予防という意味では高い効果を示す調査結果もあります。

そのため、高齢者などには効果が期待できる薬だと思います。比較的安全な薬とされていますが、副作用として高カルシウム血症が挙げられます。

3)ビタミンK2製剤

骨の形成を助けてくれる薬です。骨密度の増加という意味ではビタミンD3製剤と同じくそれほど大きな効果は期待できませんが、骨折を予防する効果があったり、副作用が少ないという点があります。尚、血栓を防ぐワルファリンという薬との併用はできません。

4)ビスホスホネート製剤

まだそれほど歴史が古いタイプの薬ではありませんが、効果が高いといわれています。この薬は骨の吸収を抑える効果があります。体内に入ると、骨の破壊細胞の働きを抑制してくれる働きがあります。

尚、ビスホスホネート製剤にもいくつかのタイプがあり、タイプによってその効果も違ってきます。

5)カルシトニン製剤

カルシトニンとは甲状腺から分泌されるホルモンの一種です。カルシトニンは鎮痛剤としても効果を発揮するため、痛みを伴っている患者さんなどのために整形外科で使用されることも多いようです。

背中や腰などに痛みのある方には効果があると思います。

骨には、骨吸収を抑制する効果もあります。

副作用としては、顔面紅潮であったり、嘔吐、ほてり、動機などがみられることがあります。また、長期間使用すると効果が薄れてくると指摘する専門家もいます。

副作用は注射をした翌日には消失すると言われています。

6)エストロゲン製剤

女性ホルモン剤のことです。女性ホルモンが減少する閉経後の女性は骨密度ががくんと落ちる傾向があります。それだけ女性ホルモンが骨の代謝に大きく関係しているということになります。

エストロゲン製剤は骨量を増加させる効果が認められていますが、その一方で乳がんなどがんのリスクを高めるタイプもあると言われています。ですから、使用する際はどのタイプを選ぶのか慎重に行う必要があるといえます。

7)イプリフラボン製剤

フラボノイド系の物質で、ムラサキウマゴヤシという牧草に由来しています。

破骨細胞の骨破壊を抑える働きがあるとされていますが、骨折への影響についてはこの記事を執筆している現在(2011年)はまだ分かっていません。

他にも新しい薬の開発は日々続けられていますので、さらに安全で効果のある薬の登場が望まれます。





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