女性と骨粗鬆症について
男性と女性を比較した場合、骨粗鬆症は圧倒的に女性に多い病気です。でも何故女性に多いのでしょうか?男性にはその心配がないのでしょうか?
結論から言うと、男性だからといってこの病気にならない保障はどこにもありません。男性でも60歳を超えてくるとリスクは高くなってきます。ですから、予防はしておかなくてはいけません。
女性の場合は男性よりもリスクは高くなります。それには大きくわけて下記の理由が考えられます。
1.女性ホルモンの影響
2.母乳育児
3.ダイエットや食事制限
4.もともと女性は男性より骨量が少ない
中でも一番の原因は女性ホルモンだと考えられます。
女性ホルモンの影響は?
女性ホルモンは骨量に大きな影響を与えることが知られています。女性ホルモンにいは骨の破壊をすすめる細胞を抑制する働きや、骨細胞の形成を促進する働きがあります。
ところが、閉経によって女性ホルモンが減少しはじめると、骨の破壊ばかりが進み、形成が間に合わないという状況になります。これが骨粗鬆症のはじまりです。
女性ホルモンは閉経の2年前位から閉経後の3年、あわせて5年間で大きく分泌量が落ちるといわれています。そして、それは骨量を減少させることになります。
骨量を見てみても閉経時期の50歳を境にがくんと落ちるケースが多いのが分かります。その後は骨量が減少するペースは落ちるものの、骨量の減少は続きますので、それだけ骨折しやすくなりますし、それが原因で寝たきりになったりもします。
ですから、この更年期、閉経前後というのは予防という意味でもとても重要な時期に当たります。ここで何もしないと、骨量はどんどん減ってゆくことになります。
運動不足やダイエット
女性に骨粗鬆症が多い原因の1つが運動不足です。特に社会人になってからは全く運動をしていない・・・という方もいらっしゃるかも知れません。通勤である程度(1日30分程度)歩いたりする機会があればいいですが、殆ど歩いていない方もいらっしゃると思います。
運動は骨に適度な刺激を与え、それを受けた骨はその刺激に耐えようと骨を強くしようとします。そのため、骨密度が増えて骨が強くなります。
もし、自分は運動不足だと思った方はまずはウォーキングから始めてみてください。
また、ダイエットは骨量を減少させます。勿論、ある程度のダイエットは体にもいいでしょう。肥満は様々な生活習慣病のリスクを高めますので。
ただ、必要以上にやせようとするのは問題です。過度のダイエットをしようとするとどうしても栄養が偏ったり、カルシウムの摂取量が減少したりして、骨量の減少につながるからです。
妊娠・授乳期
また、女性の場合妊娠や授乳によってカルシウムが大量に必要になってきます。子供にカルシウムを供給しなければならないからです。ただ、妊娠・授乳期には腸管でのカルシウム吸収率が高まるので、ちょうどバランスがとれるようになっているようです。
ただし、日本人の場合は、それ以前からカルシウムの摂取量が少なめなので、妊娠や授乳期は特に意識してカルシウムを摂取することが大切だといわれています。実際、妊娠中には骨量が7%も減少した・・・という実験結果もあるようです。
その実験では妊娠中のカルシウム摂取量を増やしたと答えた人は増やさなかったと答えた人に比べて、骨量の減少が抑えられています。
症状が殆どなく進んでゆく
骨粗鬆症の怖いところは、症状が殆どなく進んでゆくところかも知れません。骨密度が下がったところで、何か感じるわけでもありません。
症状が進んできてある時、何気ないことで骨折した、検査をしてみると骨粗鬆症だった・・・なんてこともあります。
ですから、検査を受けること、そして、症状がないからといって何もしないより、予防に力を入れることが大切です。誰だって骨量は減ってゆくものです。大事なのは、その減少を食い止めることであり、骨量を増やせるときに増やしておくことではないかと思います。