骨粗鬆症の運動療法、予防のための運動も
骨粗鬆症の3つある治療法のうちの1つが運動になります。そして勿論、予防にも運動は効果があります。
今回は何故体を動かすことが骨量に影響を与えるのか?また、どんな運動をどれだけやったらいいか?といったような疑問に答えてゆきたいと思います。
運動と骨量の関係
骨粗鬆症になりやすいタイプの人について以前にご紹介しました。細くて小柄な方・・・はなりやすいタイプの人です。一方で体重が標準的な人はやせている人よりも骨量が多いことがあります。
これはどういうことかと言うと、体重がある方がない人よりも骨にかかる負荷が強くなり、骨はその刺激によって強くなる傾向にあります。ですから骨量も増えます。
宇宙飛行士は宇宙から帰ってくると骨量が減っている・・・という話もしたことがありますが、それも骨にかかる負荷に大きな関係があります。
ということは、骨にはある程度の負荷をかけた方が骨密度が上がる・・・ということになります。
運動は骨にはある程度の負荷がかかります。ですから、骨密度もあがる。そのため、治療や予防には運動が積極的にすすめられているのです。
逆に運動しないと骨量は減ることが分かっています。寝たきりになると骨量はどんどんと減少します。運動不足の方も運動をしている人に比べて骨量が少ない傾向にあるのです。
どんなことをすればいいの?
これは骨を強くするためにはからのおさらいになりますが、骨に良いとされる運動はある程度体に負荷のかかる運動です。
スポーツで言えば、バスケットボール、バレーボール、陸上、ダンス、サッカー、バレエなどが骨量を上げる効果がとても高いという実験結果が出ています。
しかし、例えば40代になってこれらの運動をいきなり始めるのはどうでしょう?恐らく、体に負担がかかりすぎて逆効果になるかも知れません。60代、70代になるとバスケットボールをしましょう・・・などとはとても言えませんし、負荷がかかりすぎて逆に骨折の危険があります。
じゃあ、どんな運動をすればいいのでしょう。実はウォーキングのようなバスケットボールなどの比べて負荷の弱い運動量のものでも同じような効果を出す方法があります。
骨を強くするためには、骨にかかる運動量を増やすことが大切なのですが、負荷の弱い運動であってもある程度の時間をかけて行うことで負荷の強い運動を短時間やったのと同じような効果があるのです。
だから、ウォーキングのような体にはあまり負荷がかからないものであっても、ある程度の時間続けることで高い効果を発揮します。
ウォーキングの効果
骨粗鬆症の治療という意味では、骨に負荷がかかりすぎる運動は逆効果です。骨量が減少している時に負荷がかかりすぎる運動をしてしまっては骨折のリスクが高まってしまうからです。
そこでおすすめなのが体に負荷が少ないウォーキング。ウォーキングの良さはどこでもできること、お金があまりかからないこと、体にも優しいこと・・・などです。
詳しくは骨粗鬆症の予防とウォーキングについてでご紹介しているのでそちらも参照してみてください。
ウォーキングをすることによって骨量が増えるのも嬉しいですが、筋肉なども鍛えられることで、骨折予防にもなります。
階段を使ったエクササイズは効果満点
さらに予防という意味で効果が高いのが階段の上り下りです。階段を上る時は平地を歩くのに比べて3倍の負荷がかかります。
ですから、階段を上ると効率的に運動ができます。筋肉もつきますし、骨量にも良い影響を与えますので、ウォーキングコースにちょっとした階段を上ることも加えるとさらに効果が増します。
ただ、ウォーキングにしてもそうですが、骨粗鬆症の方の場合は運動をする前に必ず医師に相談してください。
予防のために階段を上ろうという方はまずウォーキングを続けて慣れてきたら階段を少し上ってみるなどの工夫をするといいと思います。いきなり上ると膝を痛めてしまうこともありますので、その点は注意して下さい。
5つのながら運動
他にも日常生活の中でちょっとしたことが良い運動になったりします。ここではながら運動や運動とは思っていなくてもよい運動になっている日常の動作などをご紹介します。
1.雑巾がけや掃除(よい運動になります。安静時の4.5倍の負荷がかかります)
2.電車やバスの中で立つ(安静時の2倍の負荷)
3.椅子に座りながら両足を浮かせる。両足を地面から10センチ程度浮かせて止めます
4.歯磨きスクワット・・・歯磨きをしながら軽く両膝を曲げましょう
5.片足上げ・・・片方の足を上げて、一本足で立つ。テレビなどを見ながら
他にも日常生活の中で運動効果のあるものがあります。安静時を1とした時の運動強度別に見てみましょう。
▼2倍から3倍
・買い物などでゆっくりと歩く
・掃除
・洗濯
・皿洗い
・立ち仕事
▼3倍から4倍
・家庭菜園、草むしり
・階段を下りる
・自転車をこぐ
・ダンス
・ゴルフ
・ウォーキング(速く歩く)
▼4倍から5倍
・雑巾掛け
・サイクリング
・ラジオ体操
・エアロビクス
・農作業
▼5倍から6倍
・階段上り下り
・ハイキング
・ダンス
・芝刈り
・雪かき
といった形になります。そういう風に日常の動作を数字で見てみるとやる気も起きてくるかも知れません。